日本学校演劇教育会関西支部の日記

演劇と教育の発展とその深化を進めていきたいと考えている活動を記事にしています。

枚方市中学校演劇発表会ワークショップに参加しました

今日は枚方市菅原生涯学習センターで、枚方演劇連絡会、枚方市中学校演劇連盟との共同企画で、枚方市中学校演劇発表会ワークショップを行いました。
これまでも枚方市では、中学校演劇部の恒例の行事として3月に合同発表公演や、ワークショップを開催されていました。
そこに今回は、枚方市以外の地域の中学校演劇部も参加して、同じ素材を異なる演出により新たな演劇的発見を体験するというワークショップにしようということで、この企画が提案され、実現の運びとなりました。
まず朝は、今回の企画で参加することになった、泉佐野市立泉佐野中学校演劇部、茨木市立養精中学校演劇部それぞれの発表を全員で鑑賞するというところから始まりました。
泉佐野中学校は「ウィキッド」。ミュージカルの魅力をしっかりと伝える舞台。音楽に合わせて、役者たちがミュージカルの一番の魅力的場面を堂々と歌い上げる姿、俳優たちのかけあいによってメリハリのあるドラマを作り上げた舞台は、見ごたえのあるものでした。
養精中学校は、学校の中におけるいじめの問題を、いじめの中心にいるものと、いじめの周辺にいるもの、そしてそのいじめの被害の立場に存在し、存在したものたちの実感に基づいた言葉で綴っていく舞台。日頃の生活感を大事にしつつ、いじめの問題を自らの問題として語りつづけようとする姿勢に貫かれており、それゆえにみているものに当事者性と共感を迫る鋭い作品でした。
この二つの公演を見て、中学生たちはそれぞれに大きな刺激、衝撃を受けていたようです。
その後、関西支部支部長によるアイスブレーキングとなり、参加者のこころとからだをときほぐすワークが行われ、その状態のまま、5つのグループに分かれ、それぞれのグループによる共通テキスト「葉っぱのフレディ」の劇作りに入っていきました。
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このグループには、関西支部支部長、事務局長、会員と、公演をした二つの中学校演劇部顧問がワークショップリーダーとして入り、その劇作を支えていくそれぞれ独自のプランに基づく演出が行われました。
会場は、しっかりとした照明設備を備えたホールで、音響も含め、サポートに入っていた地元出身の高校生や高校演劇出身の大学生がスタッフとして入り、中学生の舞台をサポートしました。
こういう整った舞台での劇作りとなったのですが、事前に原作は参加する中学生に配布されていて、内容を各自しっかりと読み込み、理解して臨んでいました。そのため、グループ別創作時間は非常に短いものであったにもかかわらず、5つのグループは個性あふれる全く異なる作風の舞台を作り上げ、同じ本であるのにこれほども理解と表現には幅があるのだということを実感できる発表会となりました。
豊かな動きを特徴とするグループ、しっかりとしたイメージを全身で表現しようとしたグループ、作品作りの過程から参加者同士のコミュニケーションを深めて、お互いに作品作り自体を楽しみながら共同創作したグループ、あくまでも作品の言葉の持つ意味を丁寧に追求しようとしたグループなど、実際に発表された舞台はその独自性に満ちた演出をしっかりと受け止め、作り上げたものとなって客席に届けられたために、見ているものにはどれも面白く、意外性と発見の連続となる発表会になりました。
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もっと時間があれば、と言う声も現実にはあったのですが、会場の時間制限もあって、本当に2時間半と言う短い時間の中であったにもかかわらず、参加した中学生はとても大きな刺激と体験したことの喜びを持ち帰ってくれたようでした。
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こうした体験を積んだ中学生がさらに活発に活動を続けて、中学校演劇の中心となって活躍してほしいなあ、と思うと同時に、高校生、大学生、社会人となってもその時その時に出会う演劇を通じて、さらに豊かな表現を作り上げていってくれる大人になってくれたらなあ、と私たちもたくさんの夢と元気をもらった一日となりました。