日本学校演劇教育会関西支部の日記

演劇と教育の発展とその深化を進めていきたいと考えている活動を記事にしています。

滋賀県高校演劇ジャンプアッププロジェクト第2弾の報告です

本日は支部長と事務局長の二人で、滋賀県草津市滋賀県の高校生を対象とした「ジャンプアッププロジェクト」の第2弾、演出・演技ワークショップを行ってきました。
滋賀県の高校演劇とは今年度本当にさまざまに親しくさせていただきました。その最後が今回のワークショップ。
秋の高校演劇滋賀県大会で上演された既成脚本一本、創作脚本一本、計二本の脚本の一部を、いろいろな学校の部員が混じったグループで演じてみるという内容。そして、そのグループ演出に滋賀県各校の演劇部顧問に行っていただき、いろいろな演出を体験してもらうというワークショップです。
高校生は県下の演劇部員約30名。そして顧問の先生が10名ほど。
最初はウォーミングアップということで1時間ほどゲームを交えて演技の基本となるアイコンタクト、対象、距離、身体を感じる活動を行いました。ボールを同時に3個使って名前を呼びあうことで、寒い朝に凍えた身体も徐々にあたたまり、テンポも出てきました。姿勢やハミングを行いながら身体イメージをあらためて持ってもらい、演じる動きへの準備を進めていきました。
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グループは、それぞれの脚本につき3グループ編成。顧問の先生がキャストに入る班もありました。
演出を担当されるのは、滋賀県での活動実績がある先生方。でも、生徒の皆さんは1年生が多数で、他校の先生の演出を受けるのは初めての体験。最初は各グループに分かれて脚本の理解、上演する部分の上演意図の確認、そしてそれぞれのグループでの演出プランを確定する討議を十分にしてもらうことにしました。
この段階で、すでに県大会で上演を見ている高校生たちは、作品の理解、登場人物の背景、台詞の一言一言の意味についてそれぞれに議論したり、思うところや疑問に感じていることを出し合って、グループでの上演に向けて相互の理解を深めようとしていきました。
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昼食をはさんで午後からは2時間をかけて上演に向けての稽古に入りました。それほど広くない研修室でしたが、そこに上演する脚本がそれぞれ異なるグループが同居して稽古を始めることになりました。演出担当の先生が背中合わせで異なる脚本の演出をどんどん進めていく部屋もあれば、限られたスペースを逆に集中して作品作りに没頭していく部屋もありました。
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稽古の時間があっという間に終わってしまい、午後3時から各グループの上演。
緊張して稽古のときとは違った雰囲気にのまれてしまいながらも、稽古の過程で演出の先生からの助言、指示をもとにして表現していこうとする発表が続きました。さすがに各校から高い意識を持って集まってきた部員の皆さんの舞台でしたから、短時間の稽古にもかかわらず、しっかりと表現しようとする意識のある見ごたえのある発表となりました。
全ての上演後、あらためて演出された先生方に演出の重点、意図をそれぞれにお話ししていただきました。そうすると、誰に向かって、どんな気持ちでその台詞を言っているのかを重点的に確認するように稽古を進めてきた、立ち位置を考えることによって、登場人物の人間関係を描けることを狙ってみた、一部上演の難しさはあったが、その中でしっかりと脚本を読み込み、疑問や感じることを出し合って互いにそれらを考えながら作品理解を探っていった、言葉を大事にしたいのでその一言一言の意味を深めて作っていこうとした、などの演出担当それぞれの深く、熱い思いが語られました。
支部長はそうした発表を受けて、演じるということで大切にしていく根本として、姿勢、視線、表情の三点があり、それらを今日一日で実際のワークショップや先生方の演出で体験されたと思うが、さらにそこから「高低」「距離」などについても意識的な行動となっていったと思う。そういう体験を踏まえて、作品作りを先生たちと一緒になって進めていってほしいとの訴えを行いました。
わずか一日での限られた条件での体験でしたが、日々の活動の刺激の一端ともなればと思います。滋賀県の高校演劇の皆様、一日、大変お疲れ様でした。そして、楽しい一日を本当にありがとうございました。